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おそらく、この格言を否定する人はいないだろう。
「時は金なり」は、アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンの「Time is money(タイム イズ マネー)」という言葉を直訳したものだ。
「Time is precious」という表現を見かける事もあるが、こちらはギリシャ哲学の格言らしい。
いずれにしても、時間は貴重である。
我々は、この貴重な時間を有効に使って初めて、成功を手に入れる事ができる。そのために、計画をたてたり、目標を設定する事が必要となる。
また、この世の中には、無料で手に入るものはない事も知っておいた方が良い。だから、その無料のものを手に入れる事によって、あるいはその無料のものを探す事によって、貴重な時間を失っていないかも、考え合わせてみる必要がある。
しかしこれらは、我々が「時間」という絶対的なパワーに対して、抗う手段を全く持たないという意味ではない。
1995年6月29日に、ソウル市の江南(カンナム)で、三豊(サンプン)百貨店という巨大なショッピングセンターが崩壊する事故があった。
この事故は、百貨店の営業時間中に起きたため、死者502人、負傷者927人という大惨事となった。事故の原因は、過剰な営利追求主義にあった。賄賂を使い、当初の建築計画よりも1フロア多い構造に変更されたのだ。
また、建築コストを浮かすために、手抜き工事が行われた。屋上には、増設されたフロアに入居する飲食店用の給水タンクが置かれた。そして、安全対策のために、防火シャッターを増設した事も仇となった。その事で、メインの柱が削り取られた。それらの事が積み重なり、元々の構造計算が意味をなさなくなった。結果、三豊(サンプン)百貨店は、わずか数秒で地下まで崩れ落ちたのである。
しかし、この事故では、いくつかの奇跡もあった。
事故から13日後に、瓦礫の中から発見された、ユ・ジファンさんの存在である。
彼女の捜索は、彼女の救出の前に助け出された人の証言を元に行われていた。彼女は、瓦礫の残骸の棒を鳴らして合図する事で、自分の存在を他の生存者に知らしていたのである。そしてお互いが、自身の存在を示す事で、励まし合っていたのだ。
しかし、彼女の救助後も、まだ生存者の存在を信じる人がいた。救助隊のアン・キョンウク消防士である。彼は、阪神淡路大震災で、絶望的な状況の中からも、奇跡的に救出される人がいた事を知っていた。彼は、歴史に学ぶ人だった。そして何故かまだ、誰かが生きているような気がした。
そして彼はなんと、事故から17日後に、一人の女性を救助する事ができた。地下一階の婦人服売場にいた、パク・スンヒョンさんである。
彼女には、事故後の瓦礫の中で、なんとか寝返りを打てるだけのスペースがあった。しかし、やがて瓦礫が迫ってきた。そしてとうとう、寝返りを打つ事もできなくなった。絶対に押し返す事の出来ない壁が迫ってくる恐怖。狭い暗所で、つぶされるかもしれないという恐怖に怯える状況。考えるだけで恐ろしくなる話だ。
やがて彼女の元には、消火活動の際に散水したものと思われる水が伝ってきた。しかし、とても飲めるようなものではなかった。それでも、体を拭くのには使えた。彼女は17日もの間、全く水を飲んでいなかったのである。
更に驚くべき事は、彼女にとって救助されるまでの17日間が、2~3日のように思われていた事だ。だから彼女は、助けが遅いなどと憤慨する事もなかった。
この事は、時間という存在の、違った側面を教えてくれる。時間は絶対的なものではなく、我々次第という事だ。我々は、時間を味方にする事も、苦痛の対象にする事もできる。
そして、このドラマには更に続きがあった。
救助されたある男性は、この時の強烈な体験がその動機になり、一流の建築会社に就職する事ができた。またある者は、この事故をきっかけに出会いがあり、そして結婚に至った。
ピンチの後には、チャンスが訪れる。そして多くの場合、そのピンチには重要なサインが含まれる。
努力をしていても結果が出ずに、大ピンチに陥ったとしよう。そしたら、その後は期待ができる。
それが人生の法則というものだ。
(事故の内容は、2006年10月26日放送のアンビリーバボーより)