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ママとは

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彼女は何故、転職で前職の1.5倍もの年収を手にする事ができたのか。
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タレントのふかわりょうは、自分の母親を「ママ」と呼ぶらしい。

この、母親を「ママ」と呼ぶ事を、マザコンで気持ち悪いなどと批判するとしたら、それはとんでもない見当違いだ。

母親を「母上」と呼ぼうが、「お母さん」と呼ぼうが、「おかん」と呼ぼうが、それは各家庭の勝手である。そもそも、「おかん」と「ママ」との間に一体どれほどの違いがあるというのだろう。外国人のミュージシャンは、皆一様に「ママ」を題材にした歌を出し、ママ、ママと歌っている。

かく言う我が家の場合は、僕がまだ小さかった頃は母親を「お母ちゃん」と呼んでいた。しかし、その「ちゃん」という語感に恥ずかしさや幼稚さを感じるようになり、自ら「さん」に変えていった。

「お母ちゃん」と「お母さん」の違いは微妙ではあるが、それでも、最初は結構勇気が要った。だから、最初のうちは、語尾を小さめの発音にして、ごまかしぎみに発音していた事を覚えている。

しかし、関西に来て「おかん」という言葉を聞いた時は、正直びっくりした。

そこには確かに、漫画の「じゃりん子チエ」を絵に書いたような世界が実在した。ある意味カルチャーショックだった。

とは言っても、関西に来たから、母親を「おかん」と呼ぶようになるかといえば、それはありえない話だ。母親を呼ぶ呼び名は、転勤前と転勤後で変わらなかった。それどころか、親と話す時の言葉も、以前と変わらずセミ標準語だった。

それを変だと思う人がいたとしたら、母親の呼び名の事を、自分に照らし合わせて考えてみて欲しい。昨日まで、母親を「お母さん」と呼んでいた人が、次の日から突然「ママ」なんて呼べるものだろうか。お互いこっ恥ずかしい、変な気持ちになるだろう。家族会議でも開いて、事前のすり合わせでもしない限り、そんな改革を行う事は無理な話だ。

一方、兄貴とは、以前はバリバリの東北弁で話していた。その言葉は、現地人の東北弁そのものだった。

しかし転勤後も、兄弟間でその東北弁を使って会話をするかと言えば、それもありえない話だ。ここは関西であり、家族のホームグラウンドだ。いったん東北を離れてしまうと、濁音にまみれた東北弁を使うなんていう事は、恥ずかしくて出来なくなる。

という事は、自然な流れからすれば、関西弁を使えば良いという事になるが、そのためには、「お母さん」から「ママ」への移行と同じ位の勇気が必要となる。

つまり僕らは、転勤を機に共通の言語を失った。

兄とは全く話さなくなった。

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