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転職に際しては、ことあるごとに、「なぜ~?」と聞かれる。
しかし、「なぜ~?」と聞くことがなぜ必要で、それに対する答えを提示することがなぜ必要なのか、そのことの本当の意味を理解している人は、おそらくごく少数であろう。
実は人間には、行動を起こす際に、その理由を求める習性がある。高度な判断が必要となる場面では、その度合いも増していく。特にその事にリスクや出費が伴う場合は、相手は用心するので、その理由づけの必要性は更に高まる。組織における人事採用とは、正にそういうものだろう。
なんとなく良いと思った。直感的に良いと思った。という採用理由は、本当は「あり」なのだが、社内の他の人を納得させるだけの、言葉に表せる理由が必要なのだ。
だからもしそれが、縁故採用のようなものだったとしても、それ以外の理由を付けて、採用を後押しをする事も必要となってくる。
理由づけの大切さを、恋愛の例で考えてみよう。
A「つきあって下さい。」
B「好きなのでつきあって下さい。」
C「君がいないとさみしいよ。だからつきあってよ。」
D「君の笑顔を見ると、僕は何だか元気がでてくるんだ。だからつきあってよ。」
E「君の笑顔を見ると、僕は何だか元気がでてくるんだ。君の事も、いつでもハッピーにするよ。だからつきあってよ。」
Aには、付き合う理由と必然性がない。人間が、リスクのある決断をするためには、大変な勇気と努力を要する。そして、選択を迫られる際は、身構えてしまうので、フラットな位置にいるというよりは、ネガティブな領域にいる。ひとまず断ってしまえば、高価な偽物の壷をつかまされる事だけはない。ところがAには、YESの答えを引き出すための要素が何も用意されていない。
Bは、ただ当たり前の理由を述べているに過ぎない。付き合って下さいと言う以上は、好きな事は当たり前であろう。それでも、Aよりは効果的だと言う事ができる。実は、心理学的な実験では、この程度の理由づけでも相手の行動に対して効果がある事が実証されている。それでも、この程度の理由では、普通は、素通りしそうになってしまう。
Cは相手の感情に訴えかけている。そして、相手の心にちょっと響く。しかし、否定的な表現を含んでいる。
Dは感情に訴えて且つ、肯定的表現にしている。相手から肯定的な答えを引き出す際に、重要なポイントだ。ただし、YESの答えを引き出すには、まだ唐突な感じがある事は否めない。
Eは、相手の気持ちも考えている。自己中心的ではない。そしてその事によって相手が受けるベネフィットを打ち出す事にも成功している。だからもう、断る理由が見当たらない。これなら、わかりました。こちらこそ、よろしくお願いします、という事になる。
同じように、人事に関わる人たちは、採用か不採用かの二者択一を迫られる。そこには、0か1かのデジタルな世界が存在する。
だからこそ、その行動を起こさせるために、論理的で明確でハートに響き、且つスムーズにYESを引き出せる理由が必要なのだ。人事に関わる人達が、転職希望者を気に入った際に、他の人たちにも容易に採用理由を説明できるような十分な証拠を提出するのだ。そのために、「なぜ~?」に対する答えを、事前に十分考え抜く必要性がある。
もしその理由が上手く見つからないとしたら、考える時間が絶対的に不足しているのであろう。
どれだけ一生懸命考えても答えが見つからない場合は、その方向性に問題があるのかもしれない。