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関西弁とは

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関西人は、自分達が訛っているとは絶対に認めない。

じゃあ、その言葉は何なのかときくと、「関西弁だ。」と言う。

辞書を見ると、方言とは、「標準語と違う、なまりのある言葉」で、

なまりとは、「くずれた発音」とある。

そして、弁とは「言葉づかい」で、方言とは「ある地方の言語の全体、なまりのある言葉」なっているから、

結局、関西弁とは関西の言葉づかいという事になり、関西弁=関西訛り=訛りと考えて良いものかどうか、いまいちわからない。しかし、東京弁という言葉もあるから、関西の言葉を関西弁と呼ぶ時点では、それがなまりを意味するものとは限らないようにも思える。

確かに関西弁の場合は、東北弁等とはちがって、「くずれた発音」の単語がなく、50音に沿っている。しかし、標準語とは、言葉づかいとイントネーションが全く違う。名詞のアクセントに至っては、全てが正反対と言っても良い位だ。

ただ、昔は関西に首都があった事は事実であり、そういう意味では、関西弁は、時代遅れの旧い標準語とも言えるわけだ。いずれにしても、他の都市の方言とは格が違うわけで、関西人が関西弁にプライドを持つのもわからないでもない。

だから、「関西弁なまっていない説」を支持してやっても良いのだが、その事で問題が起こるのが国語の時間だった。

さすがに関西でも、国語の教科書で使用されている言葉は標準語だ。

標準語は、標準語のイントネーションを伴って、初めて標準語として完成する。しかし彼らは、教師も生徒も、皆一様に関西弁のイントネーションで教科書を朗読するのだった。

これは大問題だ。

普段の日常生活では、関西弁を使う事ができたとしても、標準語を関西弁のイントネーションで朗読できるかというと、それはまた別次元の話になる。標準語の言葉づかいでは、自然に標準語のイントネーションの方に流れてしまうのが、標準の日本人というものだ。

したがって、朗読の際は、関西弁風の抑揚を文につけ、単語のアクセント/イントネーションも全て関西版にするという変換作業を瞬時に行い、声に出さなければならなかった。しかも僕の場合は、頭の中に、標準語以外に東北弁も入っている。もうほとんど、頭の中がパニックになりそうだった。

運悪く単独指名で朗読をさせられようものなら、クラス中の笑い者になる事は必至だ。

仮に僕が東京出身だったとしたら、そんな事で悩んだりする必要はないのに。

「東京では、こういうイントネーションで読むんだよ。」

と言ってやれば良い。朗読中に笑われはするだろうが、後でバカにされたりはしない。

しかし、僕の場合は違った。

絶体絶命だった。

俺は浜村淳じゃねえと、心の中で叫んだ。

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