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地震時に備える耐震補強方法として、最近注目されている施工方法、それがSRF工法だ。
これは、従来型の鉄等による補強方法とは違って、テープ状のポリエステル繊維を既存の木材に接着剤で貼ったり、テープをコンクリートの柱に包帯状に巻きつけるもので、既に橋梁の柱への採用実績もある、優れた工法である。
伸縮性のあるテープ状の繊維を採用する事で、補強材が地震時に基礎部分からはじかれる事を防ぐもので、点から面、剛から柔への発想の転換でもある。
ここで注目したいのが、開発者である工学博士の開発秘話だ。
どうやって、そのテープ状の繊維を利用するという発想にいたったかと言うと、
実は、夢に出てきたそうだ。
家を包帯でぐるぐる巻きにするイメージが夢に出てきて、その事にヒントを得た事からアイデアが生まれ、開発に結びついていったそうだ。
そしてもう一件、耐震補強方法に関して続ける。
これは、鉄製の柱を4本程度補強材として新設する、「ポール工法」と呼ばれるもので、淡路大震災では、2階建て木造建築の1階部分の倒壊が多かった事から、それを防ぐために考案された工法だ。
こちらの開発秘話にも、ちょっと注目すべき点がある。
この会社の社員構成は、元大手ゼネコン社員または建築業界関係者で、全員60歳以上。社長の年齢は70代。従って社員は皆、足腰が弱りつつある年代の人達だ。
足腰が弱かったり、交通事故にあって足をけがをしたりすると、松葉づえをつく事になる。実はその松葉づえが、工法のアイデアを生み出すうえでのヒントになったそうだ。
松葉づえは脇の所で支えるが、あの脇のところが最も強いのだ。そのメカニズムを2階建て木造建築の補強に応用したそうだ。
上記の話は、2006年9月24日放送の「噂の東京マガジン・都が選定耐震補強法」の中で紹介されていたものだが、アイデアや発想を生み出す過程を考えるうえで、非常に興味深い事例だと思った。
最初の夢にアイデアが出てきた例は、それを自身の深層意識から出てきたアイデアと捉えるか、神からの啓示と考えるかは、人により様々だろう。しかし少なくとも、その工学博士は、常日頃からその問題をどうどうすれば解決できるかを深く考えていたはずだ。物事を深く考える事の重要性を教えてくれる例だ。
後の事例は、高齢者のビジネスマンであったからこそ、生まれた発想だったと言う事が出来ると思う。松葉づえの発想というのは、五体満足、元気満々の20代の社員には生まれにくい発想だったかもしれない。
アイデアや発想の源、ビジネスのアイデアを生み出すきっかけは、色んな所にあるのだ。